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シードフレーズの仕組みと安全な管理方法完全ガイド〜メタマスク、Ledger(レジャー)など〜

シードフレーズの仕組みと安全な管理方法完全ガイド〜メタマスク、Ledger(レジャー)など〜 仮想通貨
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メタマスクやLedger(レジャー)などの暗号資産ウォレットを利用する際に必ず出てくる「シードフレーズ」という言葉をご存じでしょうか。

シードフレーズとは、ウォレットを復元するための12個から24個の英単語で構成された秘密の合言葉です。

このシードフレーズはウォレット内の全ての秘密鍵をまとめて管理するもので、ウォレット利用者が資産を安全に保管するために最も重要な情報となります。

もしシードフレーズを紛失してしまったり他人に知られてしまった場合、ご自身の仮想通貨資産を永久に失うリスクや盗まれてしまう危険性があります。

逆に言えば、シードフレーズさえあればデバイスを問わずどこからでもウォレットを復元できるため、初心者から上級者まで確実に理解し適切に取り扱う必要があります。

ウォレット名で言えば、MetaMask(メタマスク)だけでなく、Solanaチェーン用のPhantom(ファントム)やSTEPN(ステップン)のウォレット機能、さらにはハードウェアウォレットのLedgerやSafePal(セーフパル)、Tangem(タンジェム)、Best Wallet(ベストウォレット)など幅広いウォレットでシードフレーズは採用されています。

まずシードフレーズの定義や構造、秘密鍵との違いなど基礎知識を整理し、その後メタマスクを例にシードフレーズの具体的な使い方(確認方法・入力方法・インポート方法)をステップごとに説明します。

続いて、シードフレーズに関わる様々なリスクと注意点を解説し、安全な保管方法や紛失・流出を防ぐ対策についても詳しく紹介します。

また、シードフレーズの応用的な活用法や知っておくと便利なTips(メタマスクのシードフレーズを変更する方法や追加のパスフレーズ活用など)にも触れ、シードフレーズを巡る疑問を全て解消できる内容となっています。

本記事を通じてシードフレーズの役割と正しい扱い方をマスターし、大切な資産を守る知識を身につけましょう。

シードフレーズの基礎知識

まずはシードフレーズとは何か、その定義や構造について基本から押さえましょう。

シードフレーズとは?

シードフレーズ(シークレットリカバリーフレーズ)とは、ウォレット内の「秘密鍵」をまとめて管理するための12個(場合によっては24個)の英単語から成るフレーズです。

もともと「シードフレーズ」と呼ばれていましたが、多くのウォレットで「シークレットリカバリーフレーズ」といった名称が使われています。

いずれも同じ意味であり、ニーモニックフレーズやキーフレーズなどと呼ばれることもあります。

このフレーズはユーザー自身が自由に作成するものではなく、ウォレットを新規作成する際に自動的にランダム生成されて1つ割り当てられるものです。

シードフレーズはウォレットの「マスター鍵」に相当し、このフレーズさえあればデバイスやアプリが変わっても同じウォレット(アドレス群)を復元できます。

以下の言葉はすべて同じ意味で使われるので覚えておきましょう。

  • シードフレーズ
  • シークレットリカバリーフレーズ
  • キーフレーズ
  • ニーモニックフレーズ

秘密鍵とは?

秘密鍵とは、ウォレット内の各アカウント(アドレス)の資金を動かすために必要な鍵となるデータです。

通常、16進数で約64桁のランダムな文字列として表現され(256ビットの数値)、ウォレット内で作成する各アドレスごとに固有の秘密鍵が存在します。

MetamaskなどのHDウォレットでは1つのシードフレーズから複数のアカウントを生成できますが、各アカウントにはそれぞれ異なる秘密鍵が割り振られています。

秘密鍵を使うことで対応するアドレスの暗号資産を動かす署名を行えますが、秘密鍵自体を直接ユーザーが入力して利用する場面としては、ウォレット間でアカウントを引き継ぐためにインポート(復元)する場合が挙げられます。

シードフレーズと秘密鍵の違い

シードフレーズと秘密鍵の役割の違いをまとめると次のようになります。

項目 シードフレーズ 秘密鍵
別名・英語 シークレットリカバリーフレーズ、ニーモニックなど プライベートキー(Private Key)
構成要素 英単語12個(または24個) 64桁の16進数文字列
対象範囲 ウォレット全体(複数アカウント分) 単一のアドレス(アカウント)
用途 ウォレットのバックアップ・復元 アカウントのインポート(復元)

上記のとおり、シードフレーズはウォレット全体をバックアップするための合言葉であり、一方の秘密鍵は個別のアカウントを直接操作するための鍵です。

例えばMetaMaskでは、ウォレット作成時にシードフレーズが生成されますが、ウォレット内で追加した各アカウントには内部的に別々の秘密鍵が割り当てられています。

そしてシードフレーズを使えばそれら複数のアカウントをまとめて復元できますが、特定の1つのアカウントだけを他のウォレットで使用したい場合は、そのアカウントの秘密鍵をエクスポートしてインポートするという形になります。

なお、MetaMaskや他のソフトウェアウォレットではウォレットを開く際にパスワードの設定がありますが、これはシードフレーズや秘密鍵とは異なるものです。

パスワードは端末上でウォレットをロック解除するための暗号化用の鍵であり、他の端末でウォレットを復元することはできません(パスワードを忘れた場合でも、シードフレーズがあれば復元可能です)。

シードフレーズさえ控えていれば各ウォレットのパスワードを忘れてしまっても資産を取り出せますが、逆にシードフレーズを失ってしまうとパスワードを知っていても復元はできない点に注意が必要です。

使い方

シードフレーズの基本を理解したところで、実際にウォレットでどのように扱うかを見ていきましょう。

ここではMetaMask(メタマスク)を例に、シードフレーズの確認方法と復元(インポート)方法を解説します。

スマホアプリ版とPCブラウザ拡張版の両方について手順を示します。

MetaMaskでのシードフレーズの確認方法

まずは、既に使用中のMetaMaskウォレットからシードフレーズ(シークレットリカバリーフレーズ)を確認する手順です。

万が一シードフレーズを控え忘れてしまった場合でも、ウォレットにアクセスできていれば以下の操作で再確認できます。

【PC版MetaMaskの場合】

  1. MetaMaskの拡張機能を開き、パスワードを入力してロックを解除します。
  2. 画面上部のメニューから「設定」をクリックし、「セキュリティとプライバシー」を選択します。
  3. 「シークレットリカバリーフレーズを確認」という項目が表示されるのでクリックします。
  4. 注意事項(セルフカストディに関する2つの質問)が表示される場合は内容を確認し、指示に従って回答します。
  5. 次にパスワードの再入力を求められるので、自分のパスワードを入力して「次へ」をクリックします。
  6. 「ホールドしてSRPを確認」と書かれたボタンが表示されるので、マウスで長押しします。
  7. シードフレーズ(12個の英単語)が画面に表示されるので、順番に紙などに書き写して安全に保管します。

【スマホ版MetaMaskの場合】

  1. MetaMaskのモバイルアプリを起動し、パスワードまたは生体認証でウォレットをロック解除します。
  2. 画面右下の「設定」ボタンをタップし、「セキュリティとプライバシー」を選択します。
  3. メニュー内の「シークレットリカバリーフレーズを確認」をタップします。
  4. 新しい画面で「開始」と表示されたボタンをタップし、セルフカストディに関する確認の質問2つに回答します。
  5. 質問に正解するとパスワード入力画面になるので、ウォレットのパスワードを入力して「次へ」をタップします。
  6. 「ホールドしてSRPを確認」というボタンが表示されるので、指で長押しします。
  7. シードフレーズ(12単語)が表示されるので、紙などに書き写して安全に保管します。

以上がMetaMask上でシードフレーズを確認する手順です。

他のウォレットアプリでも基本的な流れは同様で、設定メニューの中からリカバリーフレーズを表示する機能を探し、パスワード認証などを経て表示させる形になります。

シードフレーズを確認できたら、必ず忘れずに書き留めてバックアップをとっておきましょう(詳しいバックアップ方法は後述します)。

MetaMaskでのシードフレーズの復元(インポート)方法

次に、シードフレーズを使ってウォレットを復元(インポート)する方法です。

新しい端末への移行時や、MetaMaskを再インストールした際に、シードフレーズを入力して以前のウォレットを再現できます。

【PC版MetaMaskの復元手順(新規インストール時)】

  1. MetaMask拡張機能を新しくインストールし、起動します(既にインストール済みの場合は後述の方法を参照)。
  2. 初期設定画面で「ウォレットの作成」か「ウォレットをインポート」を選択する場面では、「既存のウォレットをインポート」をクリックします。
  3. 「シークレットリカバリーフレーズを入力」の画面で、12個の単語のシードフレーズを順番どおりに入力します(各単語を小文字で別々の入力欄に入力します。不要なスペースや大文字がないよう注意します)。
  4. 続けて、新しく設定するウォレットのパスワードを入力し、確認のため再入力します。
  5. 全て入力したら「復元」ボタンをクリックし、しばらく待つとウォレットのインポートが完了します。

【スマホ版MetaMaskの復元手順(新規インストール時)】

  1. MetaMaskアプリをスマートフォンにインストールし、起動します。
  2. 初期セットアップで「シークレットリカバリーフレーズを使用してインポート」を選択します。
  3. 表示されたテキスト入力欄にシードフレーズ(12単語)を入力します。単語はすべて半角スペースで区切って続けて入力し、最後の単語の後に余計なスペースが入らないようにします。
  4. 続いてウォレット用の新しいパスワードを設定し、確認のため再度入力します。
  5. 入力が完了したら「復元」ボタンをタップし、しばらく待つとウォレットがインポートされます。

既存のMetaMaskに別のシードフレーズをインポートする場合:

すでにMetaMaskウォレットを利用中で、別のシードフレーズを使ったウォレットを読み込みたい場合は、一度ウォレットのリセット(初期化)を行う必要があります。

MetaMaskでは1つのインストールにつき1つのシードフレーズしか管理できないため、新規インポートを行うと現在のウォレット情報は上書きされてしまいます。

そのため、インポート前に現在利用中のウォレットのシードフレーズや秘密鍵を必ずバックアップしておきましょう。

バックアップが完了したら、MetaMaskの「設定 > 全般」メニューにある「アカウントのリセット」(または拡張機能を削除して再インストール)を実行します。

これによりMetaMaskが初期状態になるので、先ほどの新規インストール時と同様の手順で「既存のウォレットをインポート」を選択し、シードフレーズを入力して復元を行ってください。

ウォレットの復元が完了すると、シードフレーズに紐づく最初のアカウントが表示されます。

もしシードフレーズから作成された複数のアカウント(アドレス)を使用していた場合、MetaMaskでは最初のアカウント以外は自動では表示されないことがあります。

その場合、ウォレット内で「アカウントの作成」を必要な回数だけ繰り返すことで、同じシードフレーズから派生した2番目以降のアカウントを再度利用できるようになります。

インポートした直後に残高が足りないアカウントが見つからなくても、慌てず順に追加していけば元の状態に戻せます。

シードフレーズの主なリスクと注意点

シードフレーズは資産の管理において極めて重要な情報である反面、取り扱いを誤ると重大なリスクを招きます。

ここでは、シードフレーズを巡る主なリスクと注意すべき点を整理します。

シードフレーズを紛失した場合のリスク

シードフレーズを紛失してしまうと、ウォレットのバックアップ手段を失うことを意味します。

例えばパソコンやスマホの故障・紛失、アプリの削除などでウォレットにアクセスできなくなった際に、復元に必要なシードフレーズが手元にないと二度と資産を取り出すことができなくなります。

ブロックチェーンの仕組み上、一度ウォレットの秘密鍵を失うと誰にも復元することは不可能であり、運営会社や第三者でも助けることができません。

実際に、シードフレーズ(または秘密鍵)をバックアップしていなかったために大量のビットコインやNFT資産を失ってしまった事例も存在します。

「自分はデバイスを紛失しないから大丈夫」と思うかもしれませんが、予期せぬ事故や故障はいつ起こるかわかりません。

常に最悪のケースに備えて、シードフレーズは必ず複数の場所にバックアップを取っておくことが重要です。

もしシードフレーズを記録し忘れていたことに後から気付いた場合は、ウォレットにアクセスできるうちに速やかに確認して書き留めておきましょう(確認方法は前述のとおりです)。

シードフレーズが流出してしまった場合のリスク

シードフレーズが第三者に漏れてしまった場合、そのウォレット内の資産は全て盗まれるリスクにさらされます。

悪意のある者はシードフレーズさえ入手すれば、別の端末にあなたのウォレットを復元し、あなたの暗号資産を勝手に送金することができます。

しかもトランザクションはブロックチェーン上で正当に署名されたものとして承認されるため、後から取り消したり返してもらったりする手段はありません。

盗まれた資産は基本的に戻ってこないと考えるべきです。

シードフレーズが流出する原因として多いのが、ユーザー自身が誤って相手に教えてしまうケースです。

巧妙なフィッシング詐欺によってシードフレーズを入力させられてしまったり、サポートを装った第三者に聞き出されたりする例が後を絶ちません。

(※MetaMaskなどの公式サポートがユーザーにシードフレーズを尋ねることは絶対にありません。こうした問い合わせは全て詐欺だと考えてください)

例えば「ウォレットにエラーが発生したので確認のためシードフレーズを入力してください」といったポップアップやメールが届いたり、NFTのエアドロップを装ってシードフレーズを入力させる偽サイトに誘導されたり、といった手口があります。

また、パソコンやスマホがウイルス感染してシードフレーズのデータ(メモ帳やスクリーンショット)が抜き取られるケースもあります。

いずれにせよ、シードフレーズを他人に知られた時点でウォレットの管理権は失われると認識しましょう。

シードフレーズは銀行の暗証番号以上に厳重な秘密情報であり、誰かに「教えて」と言われても絶対に教えてはいけません。

シードフレーズを用いた詐欺の事例や手口については詳しくはこちらの記事へ(※リンク挿入予定)。

シードフレーズを入力する際の注意点

ウォレットを復元する目的でシードフレーズを入力する際にも注意が必要です。

前述のように、シードフレーズを入力する行為自体が流出のきっかけになる恐れがあります。

入力にあたっては次のような点に気を付けましょう。

公式の信頼できるアプリやデバイスでのみ入力する
シードフレーズを入力するのは、公式のウォレットアプリ(または拡張機能)の復元画面に限ります。

決して見知らぬウェブサイトやアプリ上で入力しないでください(詐欺サイトの場合、そのまま盗み取られます)。

周囲の環境に注意する
シードフレーズ入力時には周囲に人がいない静かな環境で行いましょう。

背後から画面を覗き見されたり、カメラで撮影されたりしないよう配慮が必要です。

デバイスの安全性を確認する
利用する端末がウイルスやマルウェアに感染していないか事前にチェックしてください。

キーロガー(入力記録ウイルス)によって入力内容が漏洩するケースも報告されています。

心配な場合はネットワークから切断したオフライン環境で入力作業を行うことも有効です。

特にハードウェアウォレットのシードフレーズを入力する際は要注意です。

ハードウェアウォレット(LedgerやTrezorなど)の利点は、そもそもシードフレーズや秘密鍵をネットに繋がった端末に保存しない点にあります。

そのため、ハードウェアウォレットの初期設定時にはデバイスの画面上に表示されるシードフレーズを書き留める形になりますが、復元が必要になった場合でも可能な限り安全な手段で行うことが推奨されます。

(例えばLedgerでは予備のデバイスに直接フレーズを入力して復元する仕組みになっており、PCにフレーズを入力せずに済みます)

ソフトウェアウォレットであっても、どうしてもPCにシードフレーズを入力するのが不安な場合は、一時的にインターネット接続を切った状態で入力と復元を完了させる方法も有効です。

復元後にネット接続すればブロックチェーンと同期され、残高を確認できます。

要するに、シードフレーズを入力する際は「この入力行為自体が漏洩につながるかもしれない」という前提で最大限注意を払いましょう。

保管法と対策

シードフレーズを安全に管理するには、適切な方法でバックアップし、紛失や盗難のリスクを最小限に抑えることが大切です。

MetaMask公式では、以下の3つの方法でシードフレーズ(および秘密鍵)を保管することが推奨されています。

1. パスワード管理ツールに保存

1つ目は、1Password(ワンパスワード)やLastPass(ラストパス)といったパスワード管理ソフトにシードフレーズを保存する方法です。

パスワード管理ツールは本来ウェブサイトのID・パスワードを一括管理するためのソフトですが、機密情報を暗号化して安全に保管できる「セキュアノート」機能などを備えており、これをシードフレーズの保存に利用します。

メリットは、紙に書く場合と比べて紛失の心配が少なく、必要なときにすぐ取り出せる点です。

クラウド同期機能を使えば複数デバイス間でデータを共有できるため、スマホでバックアップを確認するといったことも可能です。

ただし、オンラインでデータを扱う都合上、マスターパスワードや2段階認証など管理ツール自体のセキュリティを万全にする必要があります。

また、管理ツールのログイン情報を他人に知られればシードフレーズも抜き取られてしまうため、特に強固なパスワード設定と外部からの不正アクセス対策が重要です。

信頼性の高いツールを正しく使いこなせる場合には有力な選択肢となりますが、少しでも不安がある場合は無理にオンライン上に残さず、他のオフライン手段を選びましょう。

2. 紙に書き写して保管(必要に応じて金属に刻印)

2つ目は、昔ながらの紙に書いて保管する方法です。

シードフレーズが表示されたら、それをノートや紙に丁寧に書き写して厳重に保管します。

デジタルデータとして残さないためハッキングによる流出リスクがなく、最も基本的で信頼性の高い保管方法と言えます。

この方法のポイントは、耐久性と秘匿性を確保することです。

紙に書いた場合、経年劣化や水害・火災などで読み取れなくなる恐れがあるため、必要に応じてラミネート加工をしたり、コピーを複製して別々の場所に保管すると良いでしょう。

特に火災や水没に備えるには、シードフレーズを金属プレートに刻印して保管する専用の製品を活用する方法も有効です。

金属板にシードフレーズを打刻することで非常に高い耐久性を持たせることができ、数千円程度で入手できる市販キットもあります。

紙・金属いずれの場合も、保管場所には十分気を配り、金庫や耐火金庫に入れたり信頼できる貸金庫を利用することも検討してください。

他人に見られないよう封筒やケースに入れて保管し、「これは仮想通貨の鍵である」と分からないよう工夫することも大切です。

3. 暗号化した外部ストレージに保管

3つ目は、USBメモリなどの外部ストレージに暗号化して保存する方法です。

紙に書いたメモをデジタル化して保管しておきたい場合や、パスワード管理ツールを使いたくない場合に検討される方法です。

具体的には、シードフレーズをテキストファイル等に記録し、そのファイルを強力なパスワードで暗号化してUSBメモリやハードディスクに保存します。

もしくは、ハードウェア暗号化機能付きのストレージデバイス(暗号化USBメモリなど)を利用します。
この方法では、データ自体はデジタルで保管されますが、暗号化されているため第三者が入手しても中身を簡単には見ることができません。

注意点として、暗号化に使ったパスワードを忘れてしまうと自分でも開けなくなる点と、ストレージ自体を紛失・故障させないようにする点が挙げられます。

ストレージは小型で持ち運びやすい反面、置き忘れや劣化による読み取り不能のリスクがあるため、バックアップとして複数デバイスに保存しておくことも検討しましょう。

安全に保管するためのポイント

上記の方法はそれぞれ利点とリスクがありますが、共通して重要なのは「複数のバックアップを異なる場所に保管する」ことと「他人がアクセスできないよう適切に秘匿する」ことです。

例えば、シードフレーズを紙に書いて自宅の金庫に保管し、別のコピーを実家や貸金庫に保管するといった具合に、紛失・破損に備えて冗長性を持たせると安心です。

また、バックアップの存在自体を家族以外には知らせず、万一自分に何かあった場合でも信頼できる関係者だけがアクセス方法を知っている状態を作っておくと良いでしょう(遺言のような形で情報を残すケースもあります)。

逆に、以下のような保管方法は避けるべきです。

  • スマートフォンのメモ帳アプリやPC上のテキストファイルにシードフレーズを平文で保存する(端末紛失やハッキングで即流出します)
  • シードフレーズを書いたメモの写真を撮影してスマホ内やクラウドストレージに保存する(写真データから漏洩する危険が高いです)
  • 自分宛てにシードフレーズをメール送信する(メールサーバーや通信経路が攻撃されるリスクがあります)

これらは便利に見えて非常に危険な保管例ですので、絶対に行わないでください。

シードフレーズは究極の「秘密情報」であり、多少面倒でもオフラインで厳重に保管することが長期的な安心につながります。

シードフレーズの応用・Tips

最後に、シードフレーズに関連する応用的な活用法を紹介します。

MetaMaskのシードフレーズを変更する方法

結論から言うと、MetaMaskを含む一般的なウォレットで既存のシードフレーズ自体を変更することはできません。

シードフレーズはウォレット生成時に固定されるため、一度作成したウォレットのシードフレーズを書き換える機能は用意されていないのです。

ではシードフレーズを実質的に「変更」したい場合どうすればよいかというと、新しいシードフレーズを持つウォレットを作成し、そちらに資産を移す方法になります。

つまり新規ウォレットへの移行です。

MetaMaskで実行する手順の例を挙げます。

  1. MetaMaskで新たに別のウォレット(新規アカウント)を作成します。これにより新しいシードフレーズが発行されます(安全に保管してください)。
  2. 古いウォレットから新しいウォレットのアドレス宛に全ての資産を送金します。ETHやトークン類は送付し、NFTも「転送」機能で新ウォレットへ移します。
  3. DeFiやゲームで連携していたサービスがある場合は、新ウォレットを接続し直し、必要に応じて旧ウォレットでの承認(Approve)を取り消すなど整理を行います。
  4. 全ての資産移行が完了したら、古いウォレットは使わないようにします(不安であればMetaMaskから削除しておくか、秘密鍵を抜き取ってオフラインで保管のみしておく方法もあります)。

以上のように手間はかかりますが、新しいウォレットへ移行することで実質的にシードフレーズを変更したのと同じ効果が得られます。

万が一シードフレーズが漏洩した疑いがある場合や、長期間使ったウォレットをリフレッシュしたい場合には、早めの資産移行を検討すると良いでしょう(詳しくはこちらの記事へ)。

追加のパスフレーズ(暗号用パスワード)の活用

シードフレーズには、さらに「追加のパスフレーズ」(暗号用パスワード)を組み合わせてセキュリティを高める方法も存在します。

これはウォレット作成時に設定する12語のシードフレーズとは別に、ユーザーが任意のパスワードを設定し、それを含めないと復元できないようにする高度な機能です。

ハードウェアウォレットのLedgerやTrezorでは「25番目の単語」や「パスフレーズ機能」として実装されており、上級者が活用しています。

例えば12個の単語+自分だけが知るパスワードの組み合わせでウォレットを復元するよう設定しておけば、仮にシードフレーズ(12語)だけが第三者に漏れてしまっても、追加のパスワードがわからなければ復元できません。

(逆に言えば、このパスワードを自分が忘れてしまうと永久に資産にアクセスできなくなるため、扱いは非常に慎重に行う必要があります)

このような追加パスフレーズを用いた保護は、特に大きな資産を長期保管する場合に有効ですが、通常のシードフレーズ管理よりも難易度が上がるため初心者には推奨されません。

まずは基本のシードフレーズ管理を徹底し、どうしてもさらなる防御策が必要と感じる場合のみ検討すると良いでしょう。

シードフレーズの他ウォレットへの互換性

多くの仮想通貨ウォレットはBIP39という規格に基づいてシードフレーズを生成・利用しています。

そのため、基本的には同じシードフレーズを別のウォレットアプリにインポートして使うことも可能です。

(例えば、MetaMaskの12単語を他のEthereum系ウォレットにインポートする、Ledgerの24単語をMetaMaskにインポートしてソフトウェアウォレットとして扱う、といったことが技術的にはできます)

ただし、ウォレットによってはシードフレーズから鍵を導出する際のパス(派生パス)や対応チェーンが異なるため、他のウォレットにインポートしても期待するアドレスが表示されない場合があります。

特に異なるブロックチェーンのウォレット間では互換性に注意が必要です(例:Solana用ウォレットのシードフレーズをそのままMetaMaskに入力してもEthereumアドレスしか表示されないなど)。

基本的には、同一チェーン・同一規格内であればシードフレーズは復元に利用できますが、異なるチェーンでは専用ウォレットを使った方が無難です。

どうしても他ウォレットへインポートする場合は、公式ドキュメントで対応状況を確認してから行いましょう。

その他の便利なTips

用途別にウォレットを分散する
セキュリティ向上のため、日常的に使う少額用ウォレットと、長期保管用のメインウォレットを分けておくことが有効です。

後者のシードフレーズはオフラインで厳重管理し、前者は万一漏洩しても被害が小さい状態にしておくと安心です。

定期的にバックアップを見直す
シードフレーズを保管した後も、定期的にそのバックアップが有効か確認しましょう。

書き写した紙が劣化していないか、金庫の鍵は手元にあるか、など定期点検することでいざという時確実に復元できるようにします。

復元テストを行う
可能であれば、控えたシードフレーズで新しい環境にウォレットを復元するテストを行い、正しく資産にアクセスできるか確認しておくと確実です。

テスト後は速やかにウォレットを削除し、シードフレーズが端末上に残らないよう注意します。

以上、シードフレーズに関する知識と対策、活用法について網羅的に解説しました。

最後に本記事の内容を簡単にまとめます。

まとめ

シードフレーズは暗号資産ウォレットの資産を守る要となる「合言葉」であり、その重要性と危険性を正しく理解することが不可欠です。

シードフレーズを知っている人なら誰でもウォレットを復元できてしまう反面、シードフレーズを失えば自分自身でも復元ができなくなります。

そのため、初心者のうちはまずシードフレーズとは何かをしっかり把握し、決して他人に教えないこと、そして必ず安全な方法でバックアップを取ることを実践してください。

メタマスクなどのウォレットを使う際には、今回紹介した手順でシードフレーズを確認・復元できますので、いざという時に慌てないよう手順も把握しておきましょう。

シードフレーズを適切に管理できれば、MetaMaskやLedgerといった各種ウォレットを安心して活用できるようになります。

大切な資産を守るため、本記事の内容を参考にシードフレーズの管理を徹底しましょう。

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